【相続】相続財産に農地が含まれていた場合の注意点

今回は相続に関するお話です。

相続が発生した場合、相続財産を把握しなければいけません。預貯金、証券、そして不動産。
不動産を把握するには、亡くなられた方(被相続人)に届いていたであろう「固定資産税納税通知書」や「固定資産税課税台帳」等を確認し、不動産を把握します。

その不動産の中に、「農地」があった場合、注意すべき事があります。それは①「農家台帳」を確認する事と、②農地を相続する場合、農業委員会への「届出」が必要であるという事です。では、以下詳細を確認していきましょう。

農家台帳の確認

1.農家台帳とは?

農地は、所有者の方が耕作を行っている場合と、該当農地を賃貸借にて貸し、他の者が耕作をしているという場合もあります。農家台帳では、他の者が耕作をしている場合にそれが誰であるかを確認する事ができます。このように、賃料を払い他の土地で耕作している人を小作人といいます。小作人の有無も農家台帳で確認ができます。

相続財産に農地があった場合、もしこの農地に小作人が存在している場合、小作人が持っている耕作する権利(小作権や賃借権)については、被相続人が亡くなった事で自動的に消滅するものではありません。相続人が小作人が存在する農地を相続をした場合、被相続人としての地位(農地を小作人に貸している側の権利や義務(賃貸人としての権利や義務))も自動的に引継がれます。

つまり、小作人から賃料を貰う権利がある一方、小作人に該当農地を耕作させる義務も生じます。農地を相続したから、自分で農業しよう!と思っても、勝手にはできません。農地を相続したが、農業はしないから宅地に転用して家を建てよう!と思っても、勝手にはできません。全て、小作人の了承や小作権(賃貸借権)を解除する必要があります。

2.農家台帳確認方法は?

農家台帳の確認方法は、各市町村の農業委員会で確認する事ができます。例えば、愛媛県松山市の場合は、「農地情報等閲覧申請書」という申請書に記載し松山市農業委員会(松山市役所内)に提出します。その際、添付書類として相続関係が分かる書類も提出します。

農地の相続等の届出

1.農地の相続等の届出とは?

農地を相続し、農地の名義を被相続人から相続人へ所有権を移転した場合、各市町村の農業委員会へ届出が必要になります。

2.届出方法は?

各市町村の農業委員会へ届出書を提出します。愛媛県松山市の場合は、「農地法第3条の3第1項の規定による届出書」を提出します。書式については、市のHPに添付があります。
この届出は、「被相続人が死亡したことを知った時から10か月以内」と決まっております。

最後に

いかがでしたでしょうか?農地を相続した場合、この「小作人」の存在を忘れてしまうケースがよくあります。小作人がいるのに、農地を転用してしまった!。小作人がいる事を知らずに自分で農業をしていた!等。

後々のトラブルとなりかねますので、農地を相続した場合はご注意下さい。

小作人確認や、農地相続による届出、小作人の解約等でお困りでしたら、当事務所へご相談下さい。