【会社設立】会社(事業)の目的決める時の注意事項

前回、会社(事業)の目的を決める為の3つのポイントについて確認しました。
⇒ 会社(事業)の目的を決める為の3つのポイント

今回は、会社(事業)の目的を決める時の注意点を確認しようと思います。

確認に入っていく前に、大前提として、会社(事業)の目的について、内容によっては法務局での会社登記ができない可能性があります。ですので、目的を決める際は、なんでも良い。自分で勝手に考えて良い。というわけではありません。おおまかにこのように記載すべきと決まっています。それに反する内容ですと、登記する事ができません。公証人役場で「定款」認証は通ったが、法務局での「登記」で出来なかったという事も考えられます。そうなると、定款を修正しないといけないので、再度認証をしてもらう必要が出てきてしまい、費用が再度かかってしまいます。

目的を決める際は、ポイントや注意事項を確認しながら、過去の登記された事がある目的を確認する等をして決める必要があります。

将来行う可能性がある事業もいれておくことを検討

会社設立の際は、定款に、設立後すぐに行う業務だけではなく、今後行うかもしれない業務や興味がある業務なども目的に入れておきましょう。

設立後、後で目的を追加、変更すると、変更の登記が必要になってきますので、手間ですし費用がかかってしまいます。

目的に記載されているからといって、かならずその業務を行わないといけないかというとそうではありません。ただし、むやみに何でもかんでも盛り込むというのはやめた方が良いです。

ひらがな、カタカナ、漢字で記載

使用できる文字は日本語の文字に限られます。原則、ローマ字は使用できません。ただし、例外的に「CD」や「Tシャツ」といった一般的に使用されている用語については、ローマ字を使えます。

登記上の目的と業法上の規制に注意

目的の内容で、「登記」はできる内容であるが、各種の許認可を取得する際には同じ内容の目的では許認可が下りないという可能性があるので注意です。

例えば、障害福祉施設(就労継続支援系等)が会社の事業目的なのであれば、障害福祉施設は指定申請が必要になるので、申請が通る為には定款の目的をきちんと定めておかないと申請が通らず、定款変更をする事になるかもしれません。
ちなみに、障害福祉施設(就労継続支援系等)の目的は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するために法律に基づく障害福祉サービス事業」と記載します。

許認可が必要な業種の場合、定款作成し、会社登記完了後に許認可の申請を行いますので、定款作成の際に、許認可を申請する官公署へこの内容で良いかどうか等、事前確認が必要です。

また、ほかの業種との兼業が禁止されている業種もあります。兼業が禁止されているのに、両方の事業の目的が記載されているのは、「あれ?」と思われます。

数は多すぎないように

法律上、「目的」の数に制限がありませんので、いくつ記載してもかまいません。

しかし、あまりに多くの「目的」を記載していると「この会社は結局何の会社なんだろう」と不信感を持たれることになりかねません。

中小企業ですと、おおよそ3~10個くらいの記載にしておいた方が無難です。

最後に「前各号に付帯または関連する一切の業務」と記載

新しい業務を行う場合でも、これまでの目的に記載した業務と関連したものであれば、「前各号に付帯または関連する一切の業務」に含まれるので、改めて目的の変更登記をする必要がありません。とても便利な表現ですので、必ず入れておきます。

同業他社の「登記事項証明書」を見てみる

以上の注意点に気を付けながら、まずは目的を広く浅く書き出してみましょう。書き方で迷ったら、同じ業種ですでに登記されている会社を参考にしてみましょう。

目的は会社のホームページに掲載されている事もありますが、法務局にて、同じ業種の会社の登記事項証明書を取得して確認してみます。登記事項証明書はどのような内容が登記で記載されているかを知るためにも最適です。法務局で取得した場合、1通600円となります。

目的については、目的の事例集なるものが書籍として売っておりますので、参考にしてみると良いかもしれません。

事前に法務局へ相談行く

せっかく定款を作成、認証まで終わり、登記の申請までしたのに、「目的」にひっかかり登記ができなくなってしまっては大変です。

他社の目的や、事例集等を確認し、問題なさそうな目的であれば相談しなくても良いかもしれませんが、曖昧な表現や今まであまり事例がなかったような目的等の場合、又はそれ以外でも不安な場合は法務局で相談します。

法務局には無料の相談窓口があり、通常は、相談は予約制となっています。

相談に行くのは、目的の記載のしかたを含めてひととおり定款を作成し終わったあと、定款認証前が最も良いです。

目的例

主な業種別に、会社の目的例を以下記載します。参考にして下さい。

  1. 飲食業
    飲食店業
    パン、ケーキの製造販売ならびに喫茶店経営
    食料品の販売
    飲食店の企画、設計、施工および運営
    ケータリングサービス
    外食産業に関するレストラン、バー、カフェなどの経営
  2. 食品製造・販売
    仕出し料理および弁当の製造販売
    酒類、清涼飲料水の製造、販売
    コーヒー、茶、調味料、麺類の製造、卸、販売
    ミネラルウォーターおよび浄水機器の製造、卸、販売
  3. 不動産業
    インターネットを利用した不動産情報の提供サービス
    不動産投資および駐車場経営
    事務所、駐車場の管理および警備
    土地、建物の賃貸、売買、仲介、斡旋および管理業務
    不動産の管理業務、不動産の賃貸、売買、仲介業者
    不動産取引業
  4. 建設業
    インテリアコーディネイト業
    看板の企画、デザイン、製作、販売および設置鋼材施工
    建築、土木工事の設計、施工および監理
    住宅の増改築、建て替え、リフォームおよびクリーニング業
    塗装工事業および塗装材料の販売
  5. IT、情報通信業
    インターネット、電子出版、映像、出版、印刷物などの各種メディアの企画、製作
    インターネット・ホームページの企画、立案、制作およびメンテナンス業務
    インターネットによる動画配信および配信のアウトソーシング
    コンピューターのソフトウェアの企画、開発、設計、製作およびメンテナンス
  6. 公告、出版業
    映像ソフト、音声ソフトの企画、制作
    公告代理業、出版業、印刷業ならびに新聞業
    雑誌・情報誌の企画、編集、制作、出版
    印刷物のデザイン、編集、企画、立案
  7. サービス業
    一般および産業廃棄物処理に関する事務代行業
    イベント、コンサートの開催および企画請負業務
    会計、経理に関する事務の請負業務
    診療報酬請求事務ならびに調剤薬局の一般事務の受託
    会社のロゴなどのデザイン制作
  8. 運送・運搬業
    介護タクシー事業
    貸倉庫業
    貨物自動車運送事業

目的を決めるだけでも、意外と一苦労です。会社設立の際は他にも決めないといけない項目が多数ございますので、定款作成で分からない場合は、ぜひ当事務所にて作成支援させて頂きますので、お気軽にお問合せ下さい。